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あの話題の自転車に乗ってみた!
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2023.05.16

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あの話題の自転車に乗ってみた!

メイド・イン・ジャパンの精巧なモノ作りが光る一台

フレーム重量 540gというペットボトル約1本分 脅威の軽さに詰められたバランスの良さ、メイド・イン・ジャパンの精巧なモノ作りが光る一台
2023年、一台のロードバイクが自転車業界を騒がせた。それは、純国産ブランドのYONEXからニューリリースされた「CARBONEX SLD」。

YONEXのエンジニアたちが目指した設計コンセプトは「最軽量」、完成までに4年の歳月を費やし量産最軽量クラスのフレームが誕生した。

各社フラグシップモデルにエアロロードバイクを前面に発表する中で、YONEX社がターゲットにしたのは「究極のヒルクライムバイク」。

日本のトップヒルクライマーとして知られる森本誠氏をアドバイザーに、新素材の国産カーボン「トレカ®M40X」により仕上がったバイクはフレーム重量はなんと540g。

既存の超軽量バイクを凌ぐ軽さだけでなく、抜群の推進力を持ち合わせたテイストとなっている。ディスク仕様だから実現できるケーブルレスのコックピット、空力に優れたフロントフォークは大きなアドバンテージを生みだす。

未だヒルクライムレースではリムブレーキ式の超軽量バイクが選ばれる中、YONEX社が日本のヒルクライムに新たなシーンを創造した。

鋭い加速性能にクルーズの安定感

超軽量の車体の中でもフロントアライメント(前輪部)の軽さが特に際立ち、抜けの良いクリアな走りが常に感じられるのが第一印象。そして、立ち回りのキレの良さも抜群で、薄型のベンド フォークとは思えないほどしっかりした剛性を持っている。

踏み出して感じるのが駆動力の機敏さ。ディスクブレーキ仕様にして407mmまで詰めたチェーンステーは、トルクの駆け出しにビビットに反応してくれる後輪追従性を演出している。

それでいて走っていて落ち着いたフィーリングを得られるのは、 CARBONEX HRに比べ4mm下げたBBドロップ(72㎜)の低重心化で巡航性能に安定化をもたらした。

そして、ベンドしたフロントフォークによる振動減衰性に少し長めのトレイル量(63㎜)がフロントコントロールの接地感を高め、この超軽量高剛性のバイクの走り心地の良さに繋がっている。これらの特徴からハイスピードへ到達する加速力の速さ、安心感・安定感が持てるクルーズ性能がこのバイクの持ち味となっている。

長い時間強いトルクをかけられるのは最も重要な性能

フラット、クライミングと時間を掛けてCARBONEX SLDのテストライドしている中で、トルクを踏み続けられるというフィーリングを多くのシーンで感じる事があった。

長い時間踏んでもストレスを感じないのは、トルクを逃がさずに受け止める高剛性のダウンチューブとBBウィップの腰とバネのつよさに切れ味があることから、次のペダリングにつながるリズムをバイクがライダーをフォローしてくれるところに答えがある。

これは体重を掛けたダンシング時も恩恵を受ける事が出来るため、ハイトルクで走り続けるヒルクライムでは強い味方になってくれるだろう。

また、テストしていて特に感じたのは向かい風での推進力の強さ。ライダーがネガティブになりがちなシチュエーションでもバイクの特性に助けられる。

長い時間トルクに向き合える性能はロングライドでも 大きな味方になってくれるだろう。

今回テストした車体のアッセンブルは、デュラエース C 36 カーボンホイールにタイヤは IRC フォーミュラプロ TLR 25 C を5.5気圧に設定。このチョイスはヒルクライムにそのまま反映できる仕様で、ハイディープなホイールや太めのタイヤ(MAX 28C)をカスタマイズすれば走りのベクトルは如何様にも伸ばすことが出来る。

SPEC


販売価格 59万4000円(フレームセット、税込価格)
フレーム:トレカM40X&2G-Nアムドスピード&ナノメトリックDR
サイズ:XS、S
カラー:ブルー/グリーン/マットグリーン ブルー/グリーン、マットブルー/マットグリーン
問い合わせ:www.yonex.co.jp

執筆・写真 Yosuke Suga