(画像が荒くて大変申し訳ないですが……JCL顧問の橋本聖子さん)
先日、サッカー日本代表の森保監督の会にご招待いただきました。JCL顧問の橋本聖子さんと一緒に参加してきましたが、岸田総理のほか、スポーツ界のキーマンが集まっておられて、新しいご縁を頂くことができました。新しいJCLの動きなどはまた追々発表できることもあるので、楽しみにしていてください。
監督のお話も聞いていて、やはりスポーツで大事なことは、「いい試合をしろ」ではなく「世界で勝つ」ことであるのは間違いないのです。
JCLは、サイクルロードレースのリーグ組織ですが、リーグを代表するJCL TEAM UKYOで何としてでも世界で勝ちを上げなくては、と改めて思いましたが、そんな白か黒かだけでなく、スポーツの美しさ、すばらしさ、を感じた体験を、皆様にシェアさせていただきたいと思います。
私がF1に乗っていたときは、日本経済はバブル的な恩恵もあり、お金に余裕があった社会だったと思います。ただ振り返ると、お金があったからと言って、ホンモノが生まれるわけではないことは皆さんご存知でしょう。私自身も、世界のトッププレイヤーも、お金が欲しいからスポーツをやっている、という訳でもなかった。ホンモノは、リテラシー/モラルが磨かれた先にあると私は思っています。
野次馬的に、自転車ロードプロ選手はいくらもらっているの?とか、そういう話もよく出ますが、そもそも本当にお金が欲しかったら、起業するとか、学歴取って金融投資業をやるとか、そちらの方が打率は高いと思います(笑)
人間本来、生きる事に必要なのは“希望”だと思っています。人生、本当に何が起こるかわからず、急にコロナウィルスがまん延して社会が変わったり、会社が潰れたり、テロが起きたり、ゼロリスクはまったくないのです。その時に、希望をもって、自分の力と、みんなの力で乗り越えることが絶対必要です。
私がF1レーサーの時は、事故で手足を失って車に乗れなくなったら、死んでしまおう、位に思っていた。それはまったくの間違いです。東京パラリンピックで一緒に仕事していたUCI(国際自転車競技連合)から、「右京、パラは最高だ」という言葉がまだピンと来ていなかったのですが、本当にそれを理解したのは大会期間中です。
詳しくは言えないところもあるので、ぼかしながら書いているのをご了承ください。女子自転車ロードレースで、脳性まひの選手が三輪(トライシクルと呼ばれる)でレースする種目があるのですが、かなりタイム差が開いてしまって、道路の封鎖時間ギリギリになってしまいそうだった。周りから、失格にしろ!と怒鳴り込まれそうなくらい緊迫した瞬間があったのですが、橋本聖子さん、UCIと議論して、私の全責任で規制時間をマネージしてゴールしてもらいました。
生まれたときから脳性まひと向き合って、それだけでも大変なこともあっただろうに、さらにサイクルスポーツという、大変な挑戦に向き合って、スポンサーからサポーターをちゃんと見つけて巻き込んで、人生を進んで行っている……。そんな人の希望を私たちは摘むことはとてもできませんでした。どんなに大変な環境でも、大きなサポートが最初から得られなくても、「あなたは、パラリンピックに出られる」という神様からの予言を信じて、生きてきたのです。
その選手がゴールした瞬間、どんなにタイムギャップが開いて苦しい環境でも、最後まで戦い抜いた選手の雄姿に、関係者一同、感動して泣いてしまいました。
繰り返しですが、人間が生きることに必要なのは希望です。
実は、一般社団法人日本パラサイクリング連盟さんとは、パラサイクリングの分野でもJCLが協働することができないか、と一緒に議論はしています。何から何まで、JCLがやっていくのはどうなの?というご意見もあるかと思いますが、やりたいし、やらなくてはいけない、と思っています。
「右京さんはF1乗って、パリダカ行って、山登って、オリンピックやって、元気ですね~~」と言われますが、その分、たくさん泣いています。F1でも山でも、大事な仲間を失ったり、生きる意味を問うたり悩んだりたくさんしてきました。今、サイクルロードレースに挑戦していますが、自転車を通じて、そんなみんなの人生を豊かにしたり、新しい希望を与えるような活動を、まだ微力ですが、していきたいと思っています。
JCLで走ってくれている選手も、どこかできっと、誰かを勇気づけたり感動を与えているはずですから。
自転車で日本を元気に!!ジャパンサイクルリーグがその旗手になっていくぞ!