自転車ロードレース選手には、大まかに2つのタイプ(=いわゆる脚質)があると思っていただければまずは大丈夫です。
1つは、平坦コースで、圧倒的な瞬発パワーでもがき、ゴールラインを最速で駆け抜ける”スプリンター”と呼ばれるタイプ。
2つは、山岳コースで、安定した出力を維持しながら、心肺機能をフル活用して登りきる”ヒルクライマー”と呼ばれるタイプ。
※このほかにもたくさんのタイプがあるのですが、混乱すると思いますので、まずはざっくりと解説しております!
平坦ステージのゴールスプリントでその価値を発揮する選手です。
体格は、競輪選手のように筋肉質でゴツイ選手が多く、瞬発系のパワーで、ゴールラインを駆け抜けます。一般的に、体重が重い方が、踏み込みで自転車に与えられる瞬間的なパワーが増えるため、太ももがガッチリとしており、また、自転車を”ダンシング”して左右に振りながら推進力を上げていくため、腕の筋肉も発達しています。
ゴールラインぎりぎりまで、リードアウトと呼ばれるアシスト選手にけん引してもらって力を溜め、ここぞ!というタイミングで飛び出して勝負します。
集団スプリントでは、高速で走るほかのライダーと肩と肩をぶつけ合いながら、自分が勝てるライン取りを見つけ、タイミングを瞬時に見極める能力を求められます。
コンマゼロ秒の世界で争い、ゴールラインでは、少しでもライバル選手を差そうと自転車を押し出します。
普通の人なら、思わず自転車から降りて足をついてしまいそうな斜面を軽やかに駆け抜けていくのがヒルクライマーです。
驚くべき心臓の強さで、スイスイと登っていきます。登りをこなすために、体脂肪率は極限までカリカリに絞られており、血管も浮き出ている!ような軽量系の体格が特徴です。
コンマゼロ秒を競う平坦コースのスプリントと比べて、登り(ヒルクライム)では選手によってタイム差が大きくでるため、厳しい登りのレースで、勝負が完全に決まってしまう場合もあります。
選手は心臓を極限まで使うため、苦しみの表情を浮かべながら、登りをこなしていきます……ゴール後には、思わずその場に倒れ込んでしまうほど、身体的に過酷になるのが、ヒルクライムの特徴です。
限界のその先を超えて……オールアウト(すべてを出し切る)しながらもゴールを目指す選手たちに心を動かされます
レースを観戦する前に、このレースが平坦なのか?登りがあるのか?を確認すると、まず簡単に全体像がつかめてより楽しみやすいかと思います。その上で、自分が応援するチームの選手が、どんなタイプなのか?を理解すると、応援するタイミングに力が入ると思います!!
なお、すべてのチームが、必ずしも、スプリンターやヒルクライマーを揃えている訳ではありません。チームの方針によっては、スプリンター中心で平坦コースを狙う、などの個性があります。
そして、例えば、強力なスプリンターがチームにいなかったとしても、平坦コースで体の重いスプリンターが活躍できないように、身軽な選手が何度もアタックして消耗させるような厳しいレース展開に持ち込むことで、スプリンターの瞬発力をそぐような戦略も取ることができます。
自転車ロードレースは、コース特性や選手の能力タイプに応じて、さまざまな戦略を取ることができる奥深い競技です…。
最初はよくわからなくても、見れば見るほど分かってきて楽しめます!!今後もこのような観戦ガイドを出していきますので、皆さん独自の楽しみ方も見つけていっていただければ幸いです。